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GAFAと未来を考える

2018年9月30日 at 5:00 PM

<2018年9月号アステックペイント定期発行物ホットラインの一部抜粋>

最近、久しぶりに身体が震えるような本を読んだ。元マイクロソフト社長である成毛眞氏が書かれた『amazon 世界最先端の戦略がわかる』という本である。

“GAFA”という言葉を、最近よく新聞等で見かける。GAFAとは、アメリカ企業の「グーグル(Google)」「アップル(Apple)」「フェイスブック(Facebook)」「アマゾン(Amazon)」、それぞれの頭文字をとって作られた造語である。現在、世界時価総額ランキングの上位をこのGAFAの4社が占めている。
GAFAは、本業であるIT事業だけにとどまらず、自動車、金融、物流、小売りなど、IT業界以外の事業領域へも展開を推し進め、あらゆる業種のあらゆる企業を飲み込みながら急成長している。そして、たった4社の企業に、世界は大きな脅威を感じるようになってきている。

『amazon 世界最先端の戦略がわかる』という本は、4社の企業の中でも、Amazonを知れば、それだけで未来の社会の姿がわかると言っている。そして、私は実際にこの本を読み、Amazonを知り、恐ろしい未来が待っていることを知ってしまった。例えば、こうした未来も容易に想像できる。

―――Amazonが作るオリジナルブランドの携帯やタブレットを使って、本、家庭用品、家具、電化製品そして車まで、個人として消費するもののほとんどはAmazonから購入。さらに、Amazonのコンビニが主流となっていて、支払いはAmazonカードによるキャッシュレス決済。会社ではAmazonが提供するクラウドを使って仕事をし、会社で購入している事務用品はもちろん、塗料を製造するのに必要な原材料までもAmazonから購入。その購入のための運転資金も、Amazonから融資を受ける。
上記のサービスは、Amazonが提供するサービスのごく一部であり、今後、さらに社会活動のありとあらゆる場面にAmazonが関わるようになっていくのであろう。

Amazonだけでもこれほどの影響力があることを考えれば、GAFAの4社となると、どれほどの影響力となるのだろうか。おそらく、どんなに嫌でも、GAFAに関わりながら生活せざるを得ない未来が待っている。
事業経営においても、GAFAの4社の下請けとして、わずかな利益を得て商売をするしかない未来がやってくるのかもしれない。

重要なことは、この事実から目を背け、仕方ないと受け入れるのではなく、今からでもしっかり研究し、自らの未来は自ら作り上げるという覚悟を持って、努力し続けることだ。それしかないと思う。

『amazon 世界最先端の戦略がわかる』は、こうした覚悟を持たせてくれた。オススメの本である。

日本経済の未来を考える

2018年8月31日 at 4:56 PM

<2018年8月号アステックペイント定期発行物ホットラインの一部抜粋>

1990年頃、私はアメリカの大学に留学していて、毎年夏休みには数ヶ月間アルバイトをするために日本に帰ってきていた。工事現場の警備員のアルバイトで日給12,000円程もらっていた。朝から夜の残業まですると、2万円近い時もあった。夏休みだけで40万円近い額を貯めることができていて、アメリカに戻った時の生活費の足しにしていたことをよく覚えている。
あの頃から30年近く経った今、大学生が夏休みのアルバイトで同じだけの日給を稼ぐのは難しいのではないだろうか。30年経っても、全く賃金が上がっていない(むしろ下がっている)というのは、先進国では異常な事態と言えるだろう。

こうした状況は、1997年をピークに20年以上もマイナス傾向が続く実質賃金(物価の影響を除いた賃金)の統計数値を見ても明らかである。この数値だけを見れば、日本の貧困化が進行しているとも表現できるかもしれない。

だが一方で、日本の自動車メーカーは世界で伸び続け、電機メーカーのソニーやパナソニックも家電・半導体・スマホなどの売上低迷から一時期は業績を大幅に落としていたが、今や過去最高の業績を上げている。
その他にも、あまり表立って名前は聞かないかもしれないが、多くの電機産業の企業が最高益を出している。
その背景には、アメリカ・中国・韓国・台湾・ヨーロッパのデジタル分野の産業において、国際分業体制の一部として、日本はデジタル機器の素材、周辺技術や基盤技術の分野で他国では真似ができない技術を作り上げ、オンリーワンのポジションを作り上げてきたことがある。

上場企業の収益を見ると、2018年3月期決算で純利益約29兆円、対GDP比率11. 9%と、バブル期を超える数値となっている。
安定成長期終焉後の低迷期を指して“失われた20年”と言うが、この20年は日本企業がビジネスモデルを転換するために必要な時間だったとは考えられないだろうか。そして、その一つの結果として、日本企業がデジタル分野での国際分業の中における新しいビジネスモデルの構築に成功したということではないだろうか。

人口減、国内市場の縮小、ガラパゴス経済など色々と言われている日本であるが、世界の国土面積の0.25%、人口の割合は1.7%程でありながら、国際分業の中でオンリーワンの分野を確立できていると考えれば、真に明るい未来を想像することもできると思う。

日本経済の未来を悲観する必要がないとなれば、自らの事業をもっと発展させていくためのエネルギーもわいてくる。事業の未来と時流を見極めながら、さらに奮闘していきたいと思っている。

未来の経営を想像してみる

2018年7月31日 at 4:35 PM

<2018年7月号アステックペイント定期発行物ホットラインの一部抜粋>

社会は大きく変化している。インターネットの普及によって、社会に影響を与える大企業は大きく入れ替わり、消費においてもあらゆるモノをネットで購入できるようになり、検索一つであらゆる情報が手に入るために瞬時に精度の高い判断と行動をすることができるようになった。言うなれば、社会全体が大きく様変わりしたような感覚である。

これほど社会が大きく変化する中、経営の考え方やあり方が同じで良いはずがない。
従来の厳格なピラミッド型の階層や軍隊的な規律がある組織における経営、徹底的な成果主義と成果報酬、そして、とことん利益を追求し続ける株主第一主義型の経営、ミッションや経営理念を全面に押し出し、家族のような関係性の中でモチベーションを高める経営など、これまで様々な経営スタイルがあったと思う。こうした従来の経営は変わっていくと考えるのが自然ではないだろうか。

今後、未来に向けてどのような経営になっていくのだろうか。
単純に考えると、社会において商社のような中間業者の多くが淘汰されてきたように、企業組織においても中間管理職の役割と存在価値は大きく低下していくだろう。もっと言うと、社長の権限も小さくなっていき、総務などの管理部門の業務の多くは、現場に最も近い一人ひとりの社員もしくは小さなチームに移譲していくことになると思う。AIなどを活用していくことで、現場に最も近い一人ひとりの社員や小さなチームが精度の高い判断をするための情報を常に用意できるようになれば、上司や社長が決定するというフローはいらなくなるかもしれない。

このように考えていくと、下記のような未来の経営が想像できる。
――――未来の経営では、あらゆる権限は現場に近い一人ひとりの社員や小さなチームに移譲していく。
会社の役割は、現場に近い一人ひとりの社員や小さなチームが自ら考え、目標を設定し、行動し、成果を出し続けるための支援をすることになる。支援とは具体的に、精度の高い適切な情報を用意することであり、会社が最終決定をすることはない。そして、考え、行動するためのコーチングをすることはあっても、会社が業務指示をすることはない。さらに、会社の目標設定においても、5年後、10年後の大きな売上目標を会社が設定し、高い求心力をもって社員の皆を引っ張っていくようなスタイルから、権限を持つ現場サイドがもっとお客様や社会の役に立つことだけを徹底的に考え、自分たちがやりたいことを、どこよりも早く決断し、行動し続けることのできるスタイルに変わり、そして、そういう組織の企業こそが、利益性の高い企業となっていくのかもしれない。

こうした未来の経営を想像すると、とてもワクワクした気持ちになる。