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視察ツアー参加の背景

2019年9月30日 at 2:52 PM

<2019年9月号アステックペイント定期発行物ホットラインの一部抜粋>

この度、船井総研主催のアメリカ西海岸グレートカンパニー視察ツアーに参加し、世界最高峰の企業を訪問できる機会を得た。業種や売上規模、会社として見ているビジョンが異なるため、どれだけアステックペイントに活かせるかは未知数であるが、強い興味があり、どうしても参加したかった。

実は、10 年近く前になると思うが、今回のツアーと同じような船井総研主催のアメリカ住宅リフォーム市場視察ツアーに参加したことがある。その際、当時の日本の住宅リフォーム市場との大きな違いに驚き、未来の日本の住宅リフォーム市場のメインプレーヤーは「ホームセンター」になると結論づけた。
それから10 年近くの時間が過ぎ、日本のホームセンターの多くはアメリカのようなメガホームセンターになり、全国どの地域でもホームセンター渋滞が起きるほどの抜群の集客力を持つような存在になっている。
住宅リフォームに力を入れ始めているホームセンターも多く、近い未来に確実に日本の住宅リフォーム市場のメインプレーヤーになる道を歩んでいると思う。アステックペイントでも、未来のメインプレーヤーになるであろうホームセンターとの取引のあり方について長い時間をかけて考え、行動し、今やそれ相当の関係を構築してきている。

このような考えの背景には、私の学生時代の強烈な経験がある。
今から30年ほど前、18歳の時に留学でアメリカに渡った。その時、アメリカの巨大なショッピングモール、ドラッグストア、シネマコンプレックス、そしてコストコのような異次元的な店舗などの存在一つ一つが大きな驚きであったことを覚えている。そこには、当時の日本では考えもつかないような世界があった。
しかし、5 ~10 年も経つと、それらのほぼ全てが日本でも当たり前になり、いち早く導入した企業が成功するという事実を見てきた。その時に、アメリカで成功したことは、時間を経て日本でも成功するという事実は今も昔も変わらず、そして未来も同じであろうと確信するようになった。
それと同じ考えで、日本で成功したことは、時間を経てタイでも成功するだろうという仮説を立て、誕生したのがアステックペイントタイランドである。過去の日本市場の動きをタイの市場に当てはめ、競合相手がいないうちに取り組みをスタートし、誰よりも先にシェアを取りにいくのだ。この方向性は間違っていないと日々実感している。

今回参加する視察ツアーでは、日本の全く見えない未来に備えて、今のアメリカの最新情報や動向を肌感覚でも感じておきたいと考えている。また、今の時代は業種の境目が曖昧になっているため、固定概念に囚われずに勉強し、アステックペイントおよび加盟店の皆様にしっかりお伝えしていきたい。

多様な価値観と向き合う

2019年8月31日 at 2:47 PM

<2019年8月号アステックペイント定期発行物ホットラインの一部抜粋>

最近、退職代行サービスを使って退職する若者が増えているという。
この退職代行サービスは、3~5万円ほどを業者に支払い代行を依頼すると即日退職が可能になり、成功率はほぼ100%とのこと。その背景には、社会と若者の価値観のギャップと、転職の求人倍率が高水準の2倍以上で転職が容易になっていることがあると思う。

勝手な想像で、ブラック企業と知らずに就職して辞めたいけどなかなか辞めさせてくれないから、最後の選択肢として退職代行サービスを使って退職しているのだと思っていた。しかし、最近では「仕事自体が自分にあっていない」「上司の要求に応えるのが辛い」「プライベートを大切にしたい」などのいたって普通の理由で退職を決意し、特に会社の待遇や環境に不満はないけど、上司に相談する前に、退職代行サービスを使って最短かつストレスフリーに退職を実現しているようである。

最近の若者の価値観では、「コスパ(コストパフォーマンス)」が重要視されていると聞く。ユニクロでも高いと感じ、コスパの良い服を購入するか、仮に良いものを購入しても何度か着てからメルカリで販売・リサイクルするようである。
さらには、「お金よりも時間が重要」という価値観を「タイパ(タイムパフォーマンス)」と呼び、徹底して無駄な時間を省く傾向もあるようだ。
恋愛は「コスパ」と「タイパ」が悪いため、恋愛を避けたいと思う若者が多くいると言われているほどである。

そんな考えを持つ若者からしてみたら、退職を会社に申し出てから実際に辞めるまでの会社とのやりとりなどは、ほとんど無駄に思えるかもしれない。
もう辞めると決めているので、たとえ引き留められても、気持ちが変わることはないと思うし、上司や周りに気を使ったり、調整に労力を割いたりするくらいなら、決して安くはない金額を払ってでもさっさと辞めた方が合理的である。社会人としてのマナーや礼儀の重要性は理解しているつもりだし、会社に感謝もしているけど、タイパも良く何の悪意も抱いていない。このような感じなのではないだろうか。

ここで、「だから最近の若者は…」と思うかどうかで、企業の未来の生存率は変わると思う。多くの経営者にとって若者の価値観は理解し難いところがあるかもしれないが、そのギャップを少しでも埋める努力はし続けるしかない。そしてその答えは、残念ながら経営者や古参幹部・社員は持ち合わせていないだろう。ヒントとなるものを社内外の若者とお互いに学び合いながら、多様な価値観に柔軟に対応する会社の姿勢が大切なのではないかと思う。

もし、退職代行サービスを使わないにしても、退職を申し出ている社員がいるのであれば同じ価値観や考えを持っているかもしれない。今からでも、その社員と正面から向き合い、価値観を理解する努力を行ない、経営者自ら変わり続けることが未来への道と考える。

経営者のモチベーションの源泉とは

2019年7月31日 at 2:26 PM

<2019年7月号アステックペイント定期発行物ホットラインの一部抜粋>

少し前になるが、日経新聞にパナソニックの津賀一宏社長のインタビュー記事が掲載されていた。
その中で、「現在の危機感はもう200%、深海の深さだ。今のままでは次の100年どころか10年も持たない」という言葉に衝撃を受けた。

7,700億円ほどの最終赤字を出した2012年に就任した津賀社長は、幾重もの大改革を断行しながら再度パナソニックを成長基調に乗せてきた。最新鋭のプラズマパネルの工場を閉鎖し、家電メーカーからBtoBに大きく舵を切った年でもあり、当時のニュースで話題になっていた。その後、2019年3月期の決算では、昨対比20.8%増の増収増益を出している。大改革以降、多くの新しい分野で世界トップクラスの技術と売上を有しながらも、「現在の危機感は20 0%」という津賀社長の感覚は衝撃的であった。

私自身を振り返ると、経営者としてのモチベーションの最大の源泉は『危機感』だと思っている。ただし、経営者としての成長ステージによって、モチベーションの源泉元は変化してきたような気がする。

例えば、アステックペイントを創業した時は、多くの身近な知り合いから無理だから辞めた方が良いと言われていた。だから創業時の私にとっては、そのような方々に対する「今に見ていろ!絶対に成功させてやる」という『反骨精神』もモチベーションの源泉であった。
そして、会社が多少軌道に乗り、ある程度黒字が出始めて、社員を何名か採用し始めた頃は、美味しいものが食べられる、大きいマンションに住める、速い車に乗れるという『サラリーマン時代にできなかった生活レベルを実現できること』がモチベーションの大きな源泉になっていたことも間違いない。しかし、そのようなモチベーションはすぐに飽き始め、『お客様と社員の喜びや幸せを見られること』がモチベーションの源泉だった時期もあった。

それから、ある程度組織の規模も大きくなり、顧客、取引業者、社員等との関わりの中で組織を存続させていくことによる社会的責任という意識が出始めると、『危機感』が最大のモチベーションの源泉となってきた。私自身のひとつの経営判断ミスが、多くの取引先や社員、その家族の生活まで影響することを考えると、経営者としての責任の重さを感じるようになった。

現時点での私にとっての最大の危機感は「組織の成長」に対してだと思っている。もちろん組織の存続は大切であるが、組織の成長が停滞すれば、衰退の始まりでもあり、長期的に見て結局は淘汰される流れになる。
短期でも成長が止まるだけで、お金の流れは停滞し投資や教育は削減され、社員のやる気も失われ、給与が思うように上昇しなくなる中で組織は崩れ始めてくるというイメージを持っている。だから、「組織の成長」に対する危機感は強く持っており、その危機感が私の最大のモチベーションの源泉になっている。

願わくは、未来永劫の組織の成長を実現させ、短期的にも長期的にも関わる方々の幸せを実現できる組織を作っていきたい。