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新卒採用を通じて、若手の未来を考える

2019年6月28日 at 2:22 PM

<2019年6月号アステックペイント定期発行物ホットラインの一部抜粋>

2020年4月の入社に向けて、学生の採用面接が佳境を迎えている。
面接を通じて、たくさんの学生と様々な会話ができるのは、この時期の私の一つの楽しみとなっている。若い世代と長い時間接して、新しい価値観を勉強させてもらえる貴重な機会でもある。

当社の採用プロセスでは三回の面接を経て、四回目に最終面接(社長面接)となる。最終面接に上がってくる学生は、既に入社の条件をほぼ全て満たしていることが多く、人事が判断に迷っている学生や、私の基準では採用は難しいと思う学生が多少不採用になる程度となる。そうなると、最終面接での私の役割は、既に多くの内定を他社から獲得している学生に対して、当社への理解と志望度を上げるための場という意味合いが強い。

そこで、最終面接では、私からの質問は極力抑え、学生からの疑問点や不明点などの質問を可能な限り受けるようにしている。そして、納得していないことや、なかなか聞けなかったことなどを、約1時間の質疑応答を通じて、私の言葉でとことん丁寧に答えるよう心掛けている。
学生には当社のことを十分理解し納得してもらう中で、最終的に後悔のない会社選びをしてもらいたいと思っている。

そしてここ最近、強く感じることがある。学生が未来への期待と不安を抱えながら、強い成長意欲を持って社会人になろうとしているが、日本社会にそのような若者を受け入れる未来があるのか、ということだ。
22歳で社会人になり70歳まで働くと考えると、48年間という長い社会人人生が待っている。これから10年間くらいは大して問題はないと思うが、未来の日本経済がますます縮小し、現在の延長線でさらに貧困化していくと、若者が成長できる機会は劇的に減っていくだろう。22歳で社会人になり、20 年後で42歳。住宅ローンも子供の教育費も多くかかる時に給与が下がる、ボーナスも出ない、もしくは職が無い、という事態に直面した場合、自分と抱える家族の不幸しか待っていない未来となる。

だから、若者に時々語っている。これから48 年という長い社会人人生を生きていく中で、自分と自分の家族を生涯幸せにするためには、日本という国で、日本語と日本人の価値観だけで働いていくことのリスクを考えるべきだと。
仮に、英語が話せ、外国の異なる文化を許容しながら世界で戦える専門分野を持っていたら、選択肢が増える。たとえば、これから成長していくであろう東南アジア等で十分稼ぐこともできるだろう。
48年間という長い社会人人生において何が起こるかわからないので、そのような選択肢を持てる準備をしっかり行なうべきだと痛切に思っている。

この想いは、6年前、私がタイのバンコクに単身で行った理由でもある。
将来、東南アジアに展開するための拠点をバンコクに作り、そして海外で挑戦したいと思っている若者が活躍できる場を用意しておきたい。だから、何が何でもバンコク事業を成功させたいと思っている。

社員の会社に対するモチベーションを考える

2019年5月31日 at 2:40 PM

<2019年5月号アステックペイント定期発行物ホットラインの一部抜粋>

2020年以降、厳しい時代が待っているのは間違いない。
消費増税やオリンピック終焉による景気の影響だけに留まらず、これからも続く人手不足がある。人手不足とは、新しい人材が採用できないだけではなく、既存社員が簡単に辞めていくことも意味する。

厳しい時代に向けて、会社の戦略を見直し、社員のスキルアップ向上、もしくは福利厚生の充実に取り組むなど、様々な努力を行なっている会社も多いと思うが、私はあまり意味がないと思っている。
社員と経営者は、求めていることや改善してほしいことが大きく異なる場合が多い。社員が会社に求めていることと違うことをやっていると、社員のモチベーションは下がり続けるだけで、社員が自ら主体的に動くこともなく、常日頃から退社のことばかり考えるようになる。

これからの厳しい時代、または見えない未来に生き残っていくためには、「社員一人ひとりが会社の方向性を理解して、自ら主体的に動き、会社が一丸となれるような組織」がとても重要になる。そのような組織になるべく、経営者はもっと社員の価値観、会社に求めていることを理解し、その要求に対して真摯に努力すべきだと自責も含めて強く感じている。

社会的には働き方改革と言われ、多くの経営者は慌てて休みを増やすとか、残業を減らすとか、いろいろなことに取り組んでいるかもしれない。しかし、社員が会社に求めていることと根本的に違うことをやっていると、結局のところ、経営コストは増えながらも社員は簡単に去っていく時代になっていると思う。

それでは、社員の会社に対するモチベーションについて考えてみたい。社員の会社に対するモチベーションは、以下の2つに分けることができる。

■ モチベーションが上がる要因
 高給与、充実した福利厚生、社員旅行、完全週休二日制、有給消化の促進、懇親会などを
 挙げれば、社員のモチベーションは上がる。しかし、1週間も経つと当たり前と感じるように
 なり、モチベーションはすぐ元に戻る。結局は 経営コスト増だけが残る要因にもなる。
■ モチベーションが下がる要因
 不効率業務に起因する慢性的な残業、常態化した無駄な手間、喫煙可な社内、上司のパワハ
 ラ、異常に長い飲み会、納得できない給与制度、長い会議、説教臭い朝礼など、社員は
 ぜひとも改善してほしいと思っているが、会社が放置している要因。

まずは、モチベーションが下がる要因を一つ一つ時間を掛けながらでも改善しなければ、どれだけ待遇や福利厚生を充実させても社員のモチベーションが高く維持されることはない。ここは経営者にとって不愉快になるような話が多いと思うが、社員の価値観と求めることを正面から受け止め、改善し続けることは大切である。モチベーションが上がる要因は、会社の実力に応じて、無理の無い範囲で少しずつ向上させていくだけで社員は十分に納得すると思う。

モチベーションが下がる要因を減らす努力をしながら、会社の実力に応じてモチベーションが上がる要因に挑戦する環境の中で社員は会社を信頼し、結果的に社員一人ひとりが会社の方向性を理解しながら、主体的に動いていく組織になっていくのだと思っている。そのような組織でしか、見えない未来で起こる様々な変化には対応できないだろう。

塗装業界での女性の活用について考える

2019年4月26日 at 10:00 AM

<2019年4月号アステックペイント定期発行物ホットラインの一部抜粋>

最近、経営者と話をすると、人手不足の話が本当に多い。どこに行ってもその話ばかりであるし、当社もご多分に漏れず苦労している。ただ、当社ではまだ人材採用は上手くできている方であると自負している。

私が考える採用の秘訣は「勝てる領域で勝つ」と、ビジネスと全く同じ考えで取り組んでいる。例えば、当社には東京営業所があるが、東京で人材を採用しようと思い、東京の企業と戦っても採用では勝てず、なかなか良い人を採用できない。そこで、福岡で採用し、東京へ赴任してもらっている。ただし、福岡で簡単に勝てるかというと、様々な工夫をして、勝てる領域を何とか見つけ出し、そこで差別化を図るなど、採用の努力を行なっている。

それでは、地元に根ざす塗装会社が、営業マンを採用しようと思った時の「勝てる領域」とは何であるか、私なりに考えてみた。

まず、地元の一般的な中小企業と戦っても勝てるはずがない。相手は、当たり前に土日の週休二日制であり、最近では福利厚生を充実させ、残業などのブラック体質を大幅に減らしてきている。一方で、塗装営業では週末や夜分の商談も多々あり、休みも安定的ではない。社員を多く抱える地元の中小企業に採用で勝つには、もはや「高給与」もしくは「社長の魅力化」しかないと思っている。

給与とは、歩合制であれば変動費であり、高い給与を払っているということは、その社員は会社に給与分の大きな売上をもたらしているはずである。固定給与であっても、高い給与は間接的に会社に売上をもたらすことを社員に促すことに繋がると考えられる。今の時代に高い給与を出さずして、営業マンが採用できると考える方が間違っているのではないだろうか。
高給与を実現するためには、福利厚生などを無理の無い範囲にして固定費を抑えながら、高給与の原資となる会社の収益を、社長が先頭を走りながら作り続けるしかないと思う。
また、先頭を走り続け、少しでも高い給与を払おうと努力している社長を見て奮起する社員もいると思うし、そのような社長の魅力は採用にも大きな力になるはずだ。

社員を多く抱える地元の中小企業は、既存社員とのバランスを考え、簡単に給与を上げることができない。「高給与」は、売上をもたらす原資、もしくは社長の魅力化に繋がる要素と考えれば、営業マンを採用する際の「勝てる領域で勝つ」ことができる数少ない条件と言えるだろう。

もう一つ、勝てる領域を挙げるならば、日本社会の人材の宝庫と言われる「家庭に留まっている女性」だと考える。
女性が社会に復帰することを躊躇するのは、子供が小さく、勤めている会社に迷惑をかけることを恐れているからである。
であれば、時間の融通と緊急時はいつでも帰れる安心感を与え、子供が大きくなった時には、そのままフルタイムで働いてもらえれば、安定的に採用が可能となる。
まだまだ多くの優秀な女性が家庭に留まっており、日本社会の人材の宝庫とはまさにその通りだと思う。会社が自宅の近所ですぐに帰れる立地にあり、時間の融通がきく方が、多少の高い待遇や福利厚生よりも、遥かに勝てる条件になると思う。

人材不足はしばらく続く。ないものねだりをするのではなく、採用できる人材を勝てる条件で採用し、その人材で売上を上げられる仕組みを作れば、これからの時代でも、しばらくは成長路線を描くことはできるだろう。