社員の会社に対するモチベーションを考える

2019年5月31日 at 2:40 PM

<2019年5月号アステックペイント定期発行物ホットラインの一部抜粋>

2020年以降、厳しい時代が待っているのは間違いない。
消費増税やオリンピック終焉による景気の影響だけに留まらず、これからも続く人手不足がある。人手不足とは、新しい人材が採用できないだけではなく、既存社員が簡単に辞めていくことも意味する。

厳しい時代に向けて、会社の戦略を見直し、社員のスキルアップ向上、もしくは福利厚生の充実に取り組むなど、様々な努力を行なっている会社も多いと思うが、私はあまり意味がないと思っている。
社員と経営者は、求めていることや改善してほしいことが大きく異なる場合が多い。社員が会社に求めていることと違うことをやっていると、社員のモチベーションは下がり続けるだけで、社員が自ら主体的に動くこともなく、常日頃から退社のことばかり考えるようになる。

これからの厳しい時代、または見えない未来に生き残っていくためには、「社員一人ひとりが会社の方向性を理解して、自ら主体的に動き、会社が一丸となれるような組織」がとても重要になる。そのような組織になるべく、経営者はもっと社員の価値観、会社に求めていることを理解し、その要求に対して真摯に努力すべきだと自責も含めて強く感じている。

社会的には働き方改革と言われ、多くの経営者は慌てて休みを増やすとか、残業を減らすとか、いろいろなことに取り組んでいるかもしれない。しかし、社員が会社に求めていることと根本的に違うことをやっていると、結局のところ、経営コストは増えながらも社員は簡単に去っていく時代になっていると思う。

それでは、社員の会社に対するモチベーションについて考えてみたい。社員の会社に対するモチベーションは、以下の2つに分けることができる。

■ モチベーションが上がる要因
 高給与、充実した福利厚生、社員旅行、完全週休二日制、有給消化の促進、懇親会などを
 挙げれば、社員のモチベーションは上がる。しかし、1週間も経つと当たり前と感じるように
 なり、モチベーションはすぐ元に戻る。結局は 経営コスト増だけが残る要因にもなる。
■ モチベーションが下がる要因
 不効率業務に起因する慢性的な残業、常態化した無駄な手間、喫煙可な社内、上司のパワハ
 ラ、異常に長い飲み会、納得できない給与制度、長い会議、説教臭い朝礼など、社員は
 ぜひとも改善してほしいと思っているが、会社が放置している要因。

まずは、モチベーションが下がる要因を一つ一つ時間を掛けながらでも改善しなければ、どれだけ待遇や福利厚生を充実させても社員のモチベーションが高く維持されることはない。ここは経営者にとって不愉快になるような話が多いと思うが、社員の価値観と求めることを正面から受け止め、改善し続けることは大切である。モチベーションが上がる要因は、会社の実力に応じて、無理の無い範囲で少しずつ向上させていくだけで社員は十分に納得すると思う。

モチベーションが下がる要因を減らす努力をしながら、会社の実力に応じてモチベーションが上がる要因に挑戦する環境の中で社員は会社を信頼し、結果的に社員一人ひとりが会社の方向性を理解しながら、主体的に動いていく組織になっていくのだと思っている。そのような組織でしか、見えない未来で起こる様々な変化には対応できないだろう。