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経営方針発表会を終えて

2019年12月27日 at 3:21 PM

<2019年12月号アステックペイント定期発行物ホットラインの一部抜粋>

去る12 月14 日、アステックペイントグループの経営方針発表会を行なった。
この発表会の開催に伴い、10 月中旬に幹部社員全員を集め、ホテルに缶詰になりながら来期の経営方針を考える2泊3日の合宿を行なった。その後も発表会当日まで会議を重ねた。
今回、合宿から発表会当日まで特に意識したのは、経営方針を達成するための具体的な手立て等ではなく、当社が向かうべきビジョンや業界内での我々の使命・価値などを徹底的に話し合うことだ。その上で、未来に向けた経営方針を決定した。

全く見えない未来の中で、「強い組織」はかなり重要な要素になってくるだろう。
社員が働きやすい環境をつくり、一人ひとりの強みを活かしながら個人の成長を支援し、全員が同じ方向を向き、同じ価値観で力を合わせながら、顧客満足を追求していく組織ができれば、見えない未来においても確実に成長できる企業になると思う。
このような「強い組織」は、ビジョンや業界内での使命・価値などをわかりやすく明文化しており、社員一人ひとりに浸透していることを、今年9 月に参加したアメリカ西海岸グレートカンパニー視察ツアーで強く実感した。

そして今回、視察ツアーで学んだことを活かし強い組織づくりの議論をした上で、2020 年以降も高い目標を掲げた。
創業以来初めて、建築塗料業界の中で確固たるポジションを獲得するために市場シェアを拡大することを目標として設定した。今まではニッチな市場の中で生き残ることを戦略としてきたが、来年より大きな方針転換をすることとなった。

アステックペイントは、来年で20 周年を迎える。これもひとえに加盟店様および仕入れ先や業務支援をしてくださる関係者、そして当社を信頼して一緒に働いてくれる社員のおかげだとつくづく痛感している。
2000 年に塗料輸入商社として創業し、いつか塗料メーカーになりたいと強く願い、塗料メーカーに転身することを実現した。そして、平成における最初で最後の建築塗料メーカー※として、建築塗料業界に新しい風を吹き込むことが我々の使命だとも考える。
また、今後も社員と共に私自身も成長し続ける努力をしながら究極の顧客満足を追い求め、とどまることなく成長し続けることで、加盟店様に少しでもご恩をお返しできると思っている。

2020年2月14日には、20周年記念式典の開催を予定している。ぜひとも多くの加盟店様にご参加いただき、当社の進むべき方向性と皆様への感謝の気持ちをお伝えしたい。

※日本塗料工業会の加盟実績から

創業20年を迎えるにあたり、考える未来

2019年11月29日 at 3:08 PM

<2019年11月号アステックペイント定期発行物ホットラインの一部抜粋>

最近読んだ本で、面白い内容を見つけた。
本の序説の中に、「法人は何歳で成人になる?」という問いに対して「人間の成人と同じ20歳」という答えの記載があったのだ。ベンチャー企業の10年間の生存率が6.3%、20年間の生存率が0.3%である中、創業してようやく20年で成人になれる、とはとても興味深いと思いながら読んでいた。

理由としては、創業後20年が経ってから本格的に成長する会社が多いからとのこと。
例えば、100円ショップのダイソーがチェーン展開を本格化したのは創業20年目で、今や全世界に約5000店舗、売上は約4,500億円である。ソフトバンクも赤字経営ではあったが、創業20年でビジネスモデルを大きく展開しており、今や売上が約4兆円、2018年の利益は1 兆円以上となっている。さらに、Apple やスターバックスも創業20年を経て本格的成長を果たしており、中小企業でも同じような事例は多いそうだ。
中小企業白書には、創業20年以降の企業は高い利益を安定的に出し、稼げる企業に転換している統計データが明記されている。その理由は単純で、20年間生き残ってこれた会社は、顧客や取引先からの評価が定まっており、業務に慣れた中核社員も多く、その結果として計画的に経営を行ない財務も健全化していることが多い。よって、会社は20年を経てようやく経営基盤が整い、新たに力強い成長路線を描くことができるからというものだった。

読みながら、この内容にとても納得し、また非常に嬉しく思った。
当社も、来年2020年に創業20年を迎える。本当に苦労と失敗続きの20年であったと実感する。しかし、多くの失敗のおかげで、我々の会社は強くなり、未来に向けて成長するためのヒントをたくさん蓄積することができた。業界と市場をある程度は理解できるようになり、業界で信頼される商品やサービスを生み出し、業界でしっかり戦える商品を数多くラインナップできるようになってきている。まだまだではあるが、ある一定の知名度と信頼も獲得できているのではないだろうか。多くの取引先にも恵まれ、10年以上の取引がある加盟店様も多く、共に汗も涙も流しながら、お互いの歴史を共有して今に至っている。
組織としては、勤続10年以上の社員が増えてきている。初期の新卒入社の社員も10年目となり、多くの部署で新卒入社組が中堅のポジションを担うようになってきた。

我々アステックペイントは、来年ようやく社会で成人になることができる。本当にワクワクするような気持ちでいっぱいである。
過去20年間蓄積してきた、決算書には表れない、目にも見えない多くの優良資産も生かし、さらなるチャレンジをし続ける企業であり続けたい。

シェアこそすべて

2019年10月31日 at 3:04 PM

<2019年10月号アステックペイント定期発行物ホットラインの一部抜粋>

「シェアこそすべて」と書かれた、自動車産業の記事が日経新聞に掲載されていた。

日本ではあまり存在を感じないが、「Uber」や「グラブ」のようなライドシェアアプリ(配車アプリ)の社会的影響力は世界的にますます大きくなってきている。これはタクシー業界を脅かすという小さな話ではない。アプリ運用会社はどちらも消費者の日々の決済などに絡みながら生活全般の隅々まで入り込むアプリを目指しており、普及も進んできている。

そして、これらの会社に対して、Google やソフトバンクだけに留まらず、トヨタなど多くの大手自動車メーカーも軒並み膨大な出資を行なっており、各社が新しいマーケットでNO.1 シェアを早く作ることにしのぎを削っている。
また、最近の国内事例で言えば、「Pay Pay」や「LINE Pay」のように、数百億円の「あげちゃうキャンペーン」などを行ないながら登録者数を増やすなど、マーケットのNO.1 シェアを早く獲得することに膨大なお金を投入している。
これらに共通しているのは、しばらくの間は赤字を出し続けてでも、未来の利益を獲得するために「NO.1 シェアを獲得すること」に一点集中している部分であろう。

「シェアこそすべて」という考えは、ITや金融業界だけではなく、どの業界でも当てはまると考えるべきである。特に、中小企業から絶大な人気を誇るランチェスター経営の本質は「マーケットシェアを上げること」に尽きる。あらゆる手を尽くし、仮に競合相手の3 倍の戦力を投入してでも、シェアを上げ続けることが経営戦略の中心となる。一時的には赤字を出し続けても地域NO.1 になることで、最終的には未来への安定性と高収益経営を実現できる。
「近未来の社会では、NO.1 しか生き残れない」という確固たる考えを持ってもいいと思う。インターネットが普及し、あらゆる情報が消費者の手の中にあり、嘘も事実も全て把握されている。すなわち、消費者からの選択肢は、ますます「NO.1」に集中する時代になることも間違いない。

Amazon は、20 年間利益を出さずに投資し続け、圧倒的NO.1 を獲得してから膨大な利益を出し始めている。そして、多くのアメリカ企業がAmazonと同じように考え、同じ取り組みを行ない、世界中から多くの利益を獲得しながら高い競争力を誇っている。
一方で、日本においては2018 年度の大企業の内部留保は約450 兆円となり、過去最高を更新している。未来投資を控え、お金を溜め込み続けている結果、日本の国際競争力は世界30 位と下がり続け、先進国最低どころか中進国にも負け始めている現実もある。

経営判断は様々であろう。しかし、「シェアこそすべて」という考えは、過去も未来も変わらない「不変な考え方」だと思っている。