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住宅塗装における塗装経営者のあり方

2015年6月1日 at 1:06 PM

< アステックペイント定期発行物ホットラインの一部抜粋>

アステックペイントを通じて、全国の塗装経営者と接する機会が多数あります。アステックペイント商品の特性上、多いのは住宅塗装に関わっている経営者との接点です。
下請けを3千万円から1億円程行ない、新しい事業として住宅塗装の元請けを目指す場合が多いように感じます。
そして住宅塗装の元請けに取り組み、年商3千万円~5千万円程で止まってしまう場合が多いと思います。当然、外的要因となる大手や異業種の参入により、競争が厳しくなってきていることも間違いありません。
しかし、売上が伸び悩む理由のほとんどは、内的要因もしくは社長要因だと言えます。

■ 人の採用が難しく、社長が下請けと両立しながら動ける範囲でしか売上が上がらない。
■ 販促の仕方が分からず、途中で断念してしまう。
■ 担当者社員が退社して、下請け中心に戻ってしまう。

このような背景の中、様々な勉強をして成功している他社を参考にしても、地域性の違い、自分のエリアの競合他社の有無、エリア内のリフォーム成熟度などにより、打つ手は異なってきます。さらに、外的要因や内的要因が絡んできます。このように考えると、住宅塗装で年商1億円を超えてくるのは、とても難しいように思えてきます。

しかし、住宅塗装で1億円どころか、3億、5億円を超えてきている塗装会社を見ていると、ある共通点が見えてきます。それは、結局社長自らが、一人で集客、営業、診断、クロージング、現場管理を行ない、社長一人の力で1億円から1億5千万円程まで持っていきます。売上5千万円を超える頃には、担当社員を採用し、自ら経験したことを社員に指導しながら、業務を引き継いでいく。そのような社員が何名かに増えてくると、売上3億円が見えてくるという感じが、成功した塗装会社のパターンだと思います。

すなわち、成功の最大の要因は、“社長自らが全てを行ない、自分一人の力で1億円の壁を越えられるかどうか”だと思います。そのプロセスで、出来の悪い社員とか、消費税とか、地域性とかの言い訳を言うようでは、まず成功出来ないし、社員も付いてこないと思います。

そして売上1億円から3億円にいくプロセスでは、売上を上げながら、売上単価と粗利アップが出来るかどうかが重要となります。売上は 1 億円を超えてきても、安値受注で粗利が低いと、社員の採用や教育に当てる費用が捻出できずに、自転車操業型になってしまいます。単に忙しいだけで、会社には利益は残らないということになりやすいのです。しかし、少しの単価アップの努力と、原価管理をしっかり行ない、少しの粗利アップを実現するだけで、同じ受注棟数でも、会社に残る利益は何倍にも変わってきます。会社の固定費は同じため、この利益はそのまま、新しい社員の採用および教育コストに当てられ、そして3億円に向けた原動力になっていくのです。

住宅塗装で売上1億円を超えるというのは、一つの大きなハードルだと思います。しかし、その答えは分かっています。社長自らが、ガムシャラにやりながら、自らを成長させながら、売上 1 億円の壁を自ら超えていくことに尽きます。結局、全ては社長次第なのだと思います。

塗装工事しか大手には勝てない

2015年5月1日 at 11:25 AM

<アステックペイント定期発行物ホットラインの一部抜粋>

住宅リフォーム市場の厳しさは時々耳にする。特に、水周りを中心としたリフォームでは、「売上が半減した」という話は珍しくなくなった。ただ、よくよく考えてみると当然の結果かもしれない。なぜなら、住宅リフォーム市場の規模は拡大していないが、家電量販店やホームセンターなどの大手異業種からの参入は激しさを増している。水周り関連のリフォームにおいて、数年で数百億円を上げるような会社が次々と増えており、今までの地元密着企業の市場パイをどんどん奪っているのだ。

水周りリフォームの構造を考えてみると、受注工事代に占める建材代金の比率は40~50%ぐらいと、かなりの割合になる。すなわち大量購入ができ、仕入れを抑えられる大手が勝つ構造になってしまっている。なぜなら、水周りリフォーム工事の価値は、トイレやユニットバスなどの商品性能以上の価値を上げることがとても難しい。太陽光はもっと顕著であろう。工事代に占める建材代比率は60%近くとなり、仕入れが安い大手しか生き残れない構造である。

塗装工事の場合について考えてみると、受注工事代の塗料代比率は20%程が目安で、人工は40%近くになる。塗装工事の価値は、当然塗料商品の性能もあるが、職人による価値創造も含まれる。仕様書通りの施工で性能を確保することや、仕上りの綺麗さなどは、全ての現場で異なる。ここが水周りリフォームとの大きな差である。商品性能に依存しない塗装工事は、大手が参入しにくい分野となる。

すなわち、この厳しい住宅リフォーム市場で生き残るためには、大手と競争しない塗装を中心に、もしくは入り口にすることが大きなヒントとなるだろう。

塗装工事においても、大手は単一的な商品ラインナップと低価格戦略で打ち出し始めている。実際には、職人管理のずさんさによるクレーム事例が多く発生しているようである。塗装工事においては、職人の価値を高め、大手に負けない体制を作ることは可能である。低価格帯に引っ張られるのではなく、もっと塗装の価値を高めることを考えていく必要があるだろう。

リフォーム市場は既に「衰退マーケット」

2015年4月10日 at 3:05 PM

< アステックペイント定期発行物ホットラインの一部抜粋>

先日、野村総合研究所が作成した住宅市場におけるレポートを読む機会がありました。あらゆる分析の中で、今後の新築着工件数は2025年には62万戸になるとの結論でした。この話は、以前から度々聞くことがあり、その結論自体は特別驚くことではありません。ただ、1990年頃には160万戸あった新築物件が、20年経った2010年頃には100万戸になり、そして今後60万戸に向かっていくプロセスにおいて、今まで160万戸を供給できるだけの住宅販売業者数とその分の雇用人口が半分以下になる事実を考えると、これから本当に厳しい時代を迎えるのであろうと改めて考えさせられます。

このレポートで、私にとって最も驚きだったのは、「新築物件が減っていく中で、住宅リフォーム市場は伸びゆく市場ではなく、縮小していくマーケットであるという事実です。
■ 広義のリフォーム市場規模/現在6.7兆円   2025年6.1兆円
■ 狭義のリフォーム市場規模/現在5.4兆円   2025年5.3兆円
(狭義とは一般リフォームであり、広義とは一般リフォームに加え、家具やインテリア商品等も含む)

すなわち、リフォーム市場は既に「衰退マーケット」であるという事実に衝撃を受けました。既に日本の世帯数を超える5000万戸の住宅ストックが存在しており、新築が減っていく中で、住宅ストックをリフォームしながら、建物を長期にわたり使用し続ける欧米のスタイルが定着しながら、住宅リフォーム市場はまだまだ伸びていく成長マーケットであるという幻想が完全に崩れ去りました。

それでは、衰退マーケットに対して、どのように立ち向かっていけば良いのでしょうか。最も恐ろしい事実は、我々の顧客の大半は団塊世代であることです。団塊世代とは、住宅保有率が異常に高く、住宅ローンや教育費からも解放され、日本の金融資産の70%を保有し、なおかつ最も人口が多い世代でもあります。この団塊の世代は超高齢化と共に2020年以降から徐々に住宅リフォーム市場にて消費をしなくなっていくのは自然の流れです。このインパクトは非常に大きいはずです。最大の金持ち顧客がこぞっていなくなるのです。それもかなり近未来の話です。

さらには、新築が100万戸から60万戸に減っていく中で、住宅業者がリフォーム市場に益々本気で参入してくるのも当然の流れでしょう。超強烈な競争が待っているのです。さらには、団塊世代の次の世代は、完全なデフレ世代となり、貯蓄もあまりなく、住宅ローンは70歳まで組んでいる方も多く、またローコスト住宅がかなりの割合となっている世代となります。すなわち、リフォームの平均単価は、今よりも下がっていくことが容易に想像できます。今見ている住宅リフォーム市場とは、全く違う世界となるでしょう。非常に厳しい時代になることだけは間違いありません。

我々が生き残るための選択肢はあまり無いと考えます。超競争業界の中で出来ることは、自分の得意分野に特化していくことに大きなヒントがあると思います。飲食業界においては、何でも屋のファミリーレストランはほとんどが淘汰され、今は専門飲食店か、かなり差別化された店舗しか生き残っていません。地元 NO.1の大手以外は、もっと自分の得意分野に特化していくことが重要でしょう。さらに地元に根付き、地元で知名度(ブランド)を定着させていくことも同じように重要であろうと思います。