ゼンショー、ワタミの衝撃

2014年11月26日 at 12:36 AM

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ゼンショーの15年3月期通期連結業績の最終損益は75億円の赤字となり、年間配当は1997年の上場以来、初の無配となった。すき家の全国1981店のうち、 59%にあたる1167店の深夜営業を当面休止していた。

ワタミは売上が前年同時期を3.7%下回ったことから、営業損益が10億円余りの赤字となり株式を上場した平成10年度以降で初めて営業赤字に転落した。また人手不足などの影響で、今年国内の64店舗を閉鎖した。

2つの企業の共通点は、
●ブラック企業という悪評が広まり人手不足
●原材料費および人件費の高騰で利益を圧迫
●安値競争から抜け出すことができず、客離れを起こしている
ということであろう。この内容は、他人事ではなく、建設業と全く同じ構造であり、我々の業界もいずれ同じ道を歩むことであろう。

おそらく根本的な原因は、「デフレからインフレ」の転換期において、デフレ型企業が淘汰されはじめていることにあるのだと思う。インフレへの転換期には、原材料費および人件費が上がりはじめてくる。この社会変化の中で、販売価格を上げられない企業は、人件費を上げることができずに人手不足となり、そして利益は圧迫し、何の手立ても打てないまま淘汰の道を歩むことになる。

すなわち「デフレからインフレへの転換期」における勝ち組と負け組の差は、「自社の販売価格を上げられるかどうか?」に尽きると思う。市場ニーズにマッチしており、価格分だけの付加価値を提供できれば顧客が去ることはない。実際に最近多くの優良企業では価格を上げてきているが、売上および利益を益々上げている。インフレ時代での勝ち組の証拠といえよう。

インフレ時代においては自社の販売価格を上げ、適正な給与を払えなければ、いずれ淘汰の道を歩むことになる。自社サービスの付加価値を上げる努力をし続ける企業が我々の業界での勝ち組となるはずだ。