“ 世界のなかの日本”という視点

2017年4月21日 at 4:52 PM

<2017年4月号アステックペイント定期発行物ホットラインの一部抜粋>

元外交官の佐藤優氏が過去30年間、座右の書として読み返してきたとされる『日本史』という歴史の教科書のような分厚い本を読んでみた。微かな記憶ではあるが、学生時代に学んだ日本の歴史教科書との違いを感じつつ、とても楽しく読むことができた。

日本の歴史教科書を読むと、日本の歴史は国内事情だけで刻まれてきたような印象を持つが、今回『日本史』を読み、日本で起こった様々な歴史的事象が世界情勢の動きのなかで起こっていることに思い至り、世界史の一部として日本史があることを改めて学ぶことができた。

坂本龍馬についても、本を読む限り、国内事情だけですべてが完結しているように思えるが、実際には海外の影響を大いに受けていたはずである。そもそも20代の若者が、なぜ莫大な軍事物資となる武器や船を購入し、多くの社員を抱えることができたのか。その背景には、スペインが世界の半分以上を植民地化した16世紀頃から、日本もその動きに影響を受けるようになったという歴史的事象があるに違いない。

例えば「朝鮮出兵」「鎖国」「開国」「明治維新」「日清戦争」、そして、その後の戦争もすべて、海外の影響を受けている。日本が国内事情だけで歴史を刻んできたという考えでは、歴史の読み方を間違えるだろう。

現代に至っても、島国である日本の経済は“ガラパゴス経済”とも言われ、輸出依存度が11%と世界的にみても異常に低く、日本国内だけで経済が完結しているかのような錯覚を起こしてしまう。しかし実際には、日本の歴史と同じく、大きな局面では世界の影響を多大に受けている。

今後、日本人の価値観を変えていかなければ、未来に繋がっていかないのではないかと思う。
そして、まさに今が価値観を変えるべき時代の変化の時であるような気もする。ビジネスにおいても、世界の動きを踏まえて考えるという視点は、非常に重要であるはずだ。