世界の輸出依存度から読み解く、未来のあるべき姿

2016年12月21日 at 4:24 PM

<2016年12月号アステックペイント定期発行物ホットラインの一部抜粋>

最近読んだ本で、あるデータを目にした。私にとってはちょっとした驚きであった。

《 世界の輸出依存度 》

日本11.4%、韓国43.4%、シンガポール151.8%、タイ57.5%、中国24.5%、
オランダ54.3%、ドイツ33.6%、ロシア22.4%

上記は、世界の輸出依存度のデータである。輸出依存度とはGDP(国内総生産)に対する
輸出額の比率であるが、日本が世界的に見て圧倒的に少ないことに非常に驚いた。日本経済は、世界との貿易に依存しており、これから景気を回復していくためには貿易依存から脱却して、内需大国にならなければならないという認識があった。しかし、上記データを見て、今までの認識は全くのデタラメだったのだと思った。

先進国の中で、日本の輸出依存度は、7.5%のアメリカに次ぐくらいの低さとなる。アメリカは世界の基軸通貨であるドルを自国で発行できるため、お金をドンドン刷って、世界中からモノを買いまくり、世界の消費大国としてその影響力を発揮しているが、日本は資源も何もなく、モノを世界に売ってドルを稼がなければ食べていけない国である。しかし、2011年より日本は長く貿易赤字であったにもかかわらず(最近でこそ貿易黒字になっているが)、日本全体であまり危機感がなかったように思える。

その理由を紐解くために、日本の輸出依存度をさらに調べると、高度経済成長期の時でさえ、輸出依存度は10%前後であり、最高に高まったのはリーマンショック前の2007年の15.6%であった。つまり、日本経済は輸出で経済大国になってきたというイメージがあるが、実は、内需拡大によって世界でも有数の経済大国になってきたというのが事実なのである。

これから迎える人口減による経済縮小を鑑みたとき、世界マーケットを対象としたビジネスの比率が高ければ、国内事情による影響を減らすことができるのであろうが、内需に依存している日本経済は人口減によるインパクトに直撃することになる。既にあらゆる産業が成熟している、高齢者の人口比率が高くなっている、人口は急激に減ってきているという事実を考えるだけでも、日本経済の内需がこれから拡大していくとは到底思えない。やはり未来を見据え、国頼りではなく、自助努力および仲間と力を合わせて自分たちを守っていくことが、今後ますます求められていくに違いない。