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アステックペイントの20周年を振り返って

2020年12月28日 at 9:00 AM

<2020年12月号アステックペイント定期発行物ホットラインの一部抜粋>

 

今年、アステックペイントは20周年を迎えました。
奇しくも、この20周年という節目において、新型コロナウイルスが全国的に流行したことで、我々アステックペイントは強制的に様々なことを変革させられることになりました。しかし、そのおかげで結果的に新しいステージに立たせてもらえたと思っています。

 

20年間を振り返ってみますと、まずは2000年の創業から2010年までが『第一ステージ』だと考えています。塗料商社として創業しましたが、30歳の塗料と塗装のド素人がオーストラリア製の塗料を日本で販売するという超無謀なスタートでした。当時はとにかくガムシャラに訳もわからず活動していました。
その中で意識したことは、「競争の無い世界で戦う」ということです。
創業当時は、塗料問屋に提案に行っても常に日本の塗料と比較されるので、塗装会社に直接塗料を提案することで競争を減らすことができました。さらに、塗料の機能性を遮熱塗料に特化することで当時は競争が少なくなり、また提案先を住宅塗装という多くの塗料メーカーがまだ力を入れていなかった市場に集中させました。加えて、販促支援や営業提案サポートなどのサービスも強化し他メーカーとの圧倒的な差別化を狙うなど、ありとあらゆる努力を行ない「競争の無い世界」をつくることに力を入れていきました。
このような取組みの中で確実に成長していきましたが、「自社で研究・開発した塗料を、自社工場で作りたい」と考えるようになり、その強い想いは2011年に工場を設置することで実現し、そこで次の『第二ステージ』に立つことができたと思っています。

 

第二ステージでは、念願の自社工場を持つようになり、塗料メーカーとして進むべき方向性を模索することからスタートしました。
塗料メーカーとして、他社にない差別化塗料を開発するのは当然のことながら、2009年にプロタイムズを、2011年にSP&SというIT会社を立ち上げ、塗装業界向けの営業支援サービスやITサービスを提供し始めました。それは、「塗装会社が求めているのは高機能な塗料だけではなく、企業が成長していくために必要な様々な支援である」と思うようになったからです。そのような取組みを行なうことで、当社の塗料を継続的に購入してもらえ、お互いがwin-winのビジネスモデルになれると思っていました。しかし、このビジョンが私の経営者人生をこれほどまで苦しめるとは全く想像していませんでした。
塗料メーカーとして新しい展開をスタートしたばかりであるなか、営業支援のフランチャイズ本部、そして全く畑違いのIT会社を立ち上げ、数え切れないほどのチャレンジを行ないましたが、その多くは失敗の繰り返しでした。そこでの私の教訓は「諦めなければ想いは実現する」ということでした。自ら設定したビジョンに対して、「市場性はある、競合相手はいない(勝てる)、理念に沿っている、三方良し」という条件が整うのであれば、どんな困難が起きても“諦めなければ”必ず実現できると信じ、ブレること無くやってきたと自負しています。結果として、アステックペイントは業界のメガヒット商品を連発し、プロタイムズは業界最大の組織になり、SP&Sは業界で唯一となるITアプリ「現場ポケット」をリリースできました。このようなプロセスを経て、当社はさらなる『第三ステージ』に立つことができたと思っています。

 

この第三ステージでは、アステックペイント、プロタイムズ、SP&Sの3社を1社統合し、新たな道を探ることにしました。理由は、3社ともに業界でそれなりの存在になってきましたが、それぞれ独立した組織になってしまい3社の相乗効果を生み出すことができず、大きなジレンマとなっていたためです。そこで、1社統合することで我々が20年かけて築いてきた様々な価値を再構築し、加盟店の皆様に対してもっとお役に立てるはずと思うようになりました。そして明確なビジョンのもと、第三ステージへと動き始めました。
この第三ステージの方向性は、2020年2月14日に約400名にご参加いただき東京で開催した全国加盟店会議にて発表させていただきました。2020年は、そこから一気に突っ走っていくつもりでした。

 

しかしながら、その矢先に起こったのが新型コロナウイルスの流行です。当社も、全く未知なる世界に突入しました。特に、当社のような成長を前提とした先行投資型の企業にとっては、消費活動が一気に止まるような状況は、非常に大きな不安を掻き立てられました。
それは加盟店の皆様にとっても同様であり、まずは同じ業界で同じ境遇のアステックペイントの加盟店同士が助け合い、励まし合う場をつくろうということで、Facebookグループ「パートナーズ応援ひろば」を設けました。この場は、全国の加盟店がコロナ禍で手探りで行なっている様々な活動を共有しながら、少しでもお互いにヒントを見つけ出し、またお互いに元気を与えられる場にしたいという想いで立ち上げました。実際には、この活動を通じて当社の社員、そして私も多くの元気をいただきました。

 

そして新型コロナウイルスの流行により、アステックペイントは大きく変革することになりました。
当社の営業スタイルは、全国に設置している営業所より営業担当が皆様の会社に訪問して、様々な情報を伝えながら、アステックペイント塗料の販売促進を行なうという形でした。しかしながら、コロナ禍で皆様の会社に訪問できなくなりましたので、全てをWEBによる面談方式に切り替え、加盟店様との接触頻度を減らさないようにしました。また、WEB面談をさらに効率的に
するために動画などを制作して、WEB面談の質を上げる努力も行なってきました。今後は、直接訪問やWEB面談に加えて、さらなる多角的な接点のあり方を構築し、加盟店の皆様にとって、アステックペイントが常に横に寄り添い、必要なタイミングで必要な情報や支援が受けられるような体制をつくっていきたいと思っています。
このようなことを考えると、2020年の新型コロナウイルスの流行が我々の第三ステージの方向性を明確にし、事業のスピードをより早めたと思っています。

 

2021年は、当社にとって第三ステージの1年目になります。そして3社統合により、アステックペイントは、塗料の製造・販売、営業支援サービス(プロタイムズ)、ITサービス(SP&S)の3つの部門を有する塗料メーカーとなります。このような体制を整えた塗料メーカーは存在していません。我々は塗料メーカーの枠を超えて新しい業態をつくり、塗装業界に新たな価値を提供していきたいと考えています。

 

塗装業界には、長らく放置されてきた解決されていない課題が数多くあります。代表的な例は、生産性です。塗装職人の生産性は過去30年間ほぼ横ばいです。すなわち、給与を上げることができません。よって、多くの塗装会社の経営者が熱望している職人の社会的地位の向上も実現することはありません。根本的には、ほとんどの塗装会社が規模の小ささ故に、これらの問題を解決することが難しくなっています。
そこで、会社の規模を拡大するために成長を求めていくことになりますが、成長プロセスで必ずぶち当たる課題があり、その課題を解決できないために多くの会社の成長が結局止まってしまいます。アステックペイントは、加盟店様がそのような壁にぶち当たった時、常に傍に寄り添い、それぞれの会社の課題を共に解決しながら、共に成長していきたいと思っています。
このような体制をつくり上げることが、アステックペイントの第三ステージだと考えています。

 

我々は20年間、皆様のおかげで成長させていただきました。この感謝の気持ちを、どのように加盟店の皆様、そして塗装業界にお返しできるか、2021年以降しっかり取り組んでまいります。

 

株式会社アステックペイント 代表取締役 菅原 徹

The Great Reset(グレート・リセット)

2020年11月30日 at 3:04 PM

<2020年11月号アステックペイント定期発行物ホットラインの一部抜粋>

住宅リフォーム業界は、9月より全国的に活気を帯びているようである。特に、地域一番店への反響はかなり多くあると聞いており、少なくとも年末までは続くことになるだろう。新型コロナウイルスが騒がれ始めた2020年3月から売上が激減し未来に対する大きな不安を抱えてきた中で、例年以上の反響が出ているということで、過去の不安も一気に吹き飛ぶような気持ちではないかと思う。

しかし、ここで安心してはいけないと思っている。3月からの巣ごもり生活の中で、社会的に中間層以上となる戸建て住宅保有者の失業や、賃金が減ることはなく、むしろ支出が減り貯金が増えた家庭も多かったと思う。さらに給付金で1人10万円(4人家族で40万円)が入り、巣ごもり明けに何を消費するかを楽しみにしていた家庭も多かっただろう。
さらに政府からの消費促進策により、消費することが経済への貢献のような雰囲気もあり、抑え込んでいた消費への大きな反動もあったと思う。

とはいえ、2021年もこのまま新型コロナウイルスの影響が続くと思うと、経営には大きなリスクになるだろう。そもそも2019年の後半に景気後退が見えてきている中で消費増税が施行され、2020年の初めに新型コロナウイルスが発生、そして今に至っている。経済に大きなダメージがないわけがない。ただ、政府があらゆる企業に対して無秩序に融資を行なってきたおかげで、2020年の倒産率は2019年よりも少なくなっている。本来であれば淘汰されなければならない中小企業までが、モルヒネが効いているような状態で生き長らえている。しかし、そんな中小企業も、2021年からは倒産が段階的に表面化してくるだろう。政府の消費促進キャンペーンもなくなっていく中で、一部の業界では失業者も増えていくかもしれない。すなわち、消費に対する雰囲気は2021年に様変わりする可能性が高いと思っている。

世界的には、今の状況を「The Great Reset( グレート・リセット)」と呼ぶらしい。新型コロナウイルスにより人々の要求や必要性が大きく変わることで消費性に変化が生まれ、社会システムを見直す機会となり、人々の価値観が大きく変わることで社会と経済をリセットするタイミングになっているとのことだ。

我々にとっては、全く見えない未来が待っているということだろう。何を準備すればいいのかわからない状況ではあるが、このようなタイミングで行なうべきことは「生産性の向上」だと思う。具体的には「営業担当を増やさず、一人あたりの売上をもっと上げるための仕組み」、「事務員を増やさず、さらに1.5倍の業務をこなせる体制」、「職人が現場で時間を持て余すこと無く、あらゆる的確な情報共有と必要な段取りが常時行われている状態」をつくることである。
見えない未来に対して、どの企業にとっても「生産性の向上」への取り組みと投資は、より会社を強くしていくきっかけを作るために、絶対に必要なことだと思っている。

会社の魅力化について

2020年10月30日 at 2:55 PM

<2020年10月号アステックペイント定期発行物ホットラインの一部抜粋>

求人採用および既存社員の定着化のために、「会社の魅力化」はとても重要な取り組みとなる。会社の魅力を向上させ続けられるのであれば、結果として会社は成長し続けることになるだろう。
会社の魅力化に取り組む際は、社員の「モチベーションを下げる要因」と「モチベーションを上げる要因」の2つに分け、それぞれの優先順位を明確にして取り組むことが大切だと思っている。

■ モチベーションを下げる要因
社長の言っていることがコロコロ変わる、方針が見えない、社内で喫煙が許されている、上司が無能、適正に評価されない、特定の社員が依怙贔屓(えこひいき)される、自分の未来が見えない など

■ モチベーションを上げる要因
給与が上がる、福利厚生が充実している、褒め上手、美味しいごはん処に行く、社員旅行がハワイ、風通しの良い組織、組織文化がしっかりしている など

「モチベーションを上げる要因」は多少放置してでも、まずは「モチベーションを下げる要因」に取り組むことが有効だと考える。理由は、モチベーションをいくら上げてもモチベーションを下げる要因が存在しているだけで、上がったモチベーションはすぐに下がり、上げる努力の意味が無くなるためである。

モチベーションを下げる要因を把握するためには、社員に聞くしか無い。社長が今まで知ってか知らずかして放置されてきたモチベーションを下げる要因は、社長にとって耳が痛い話ばかりだろう。しかし、社員からしっかり要因を聞き出し把握し受け入れ、1つずつ改善していくしか改善方法はないと思う。
想像以上に出てくるだろうモチベーションを下げる要因の改善は、時間をかけて少しずつで全く構わないと思う。社長が努力しながら自らを変革させ会社が変わっていく、そのプロセスを実感できるだけでも確実に社員の不満は減っていくはずである。社員は決して社長や会社に完璧を求めていないし、お互い身の丈にあった出会いであるはずなので、社長と社員双方が努力して成長していくという思考に変わっていくだろう。

「モチベーションを下げる要因」に取り組むことで会社の雰囲気は徐々に変わっていき、その中で少しずつ「モチベーションを上げる要因」に取り組むことで、多くの社員のモチベーションは高い状態で維持されていくことになり、このような取り組みを継続することで魅力的な会社に変化していくと思う。

「会社の魅力化」の第一歩は、放置してきた社長にとって耳が痛いことをしっかり受け入れ、社長自らが変わることで、会社が変化していくことだと考える。簡単なようで、なかなかできない大変難しい取り組みだと思うが、避けてはならない道だと思っている。