会社経営は、結局「人」が全て

2017年6月23日 at 5:05 PM

<2017年6月号アステックペイント定期発行物ホットラインの一部抜粋>

アステックペイントを創業して17年目を迎えるが、「会社経営で一番難しいことは何か」と尋ねられれば、迷うことなく、「人」と答えるであろう。

会社を経営していると、様々なことが発生する。次々と発生する事態に直面しながら「工場が火事になったり、洪水に見舞われたりして、会社が倒産するのではないか」といった、最悪の状況が頭をよぎることもあった。それでも、ほとんどのことは努力で解決できると信じ、結果的に乗り越えてこられた。

しかし、退職や信頼関係の崩壊、裏切り、事故など「人」に関することは、自らの努力が及ばないことも多い。会社に与える影響も多大で、精神的にも大変苦しい状況に追い込まれることもあった。ちょっとした一言が原因で、何年もかけて積み上げた信頼関係が一瞬で壊れ、取り返しのつかないことになってしまったこともある。それはなにも社員に限ったことではなく、取引先や海外の方々にも共通している。

会社を経営し、「人」と向き合うなかで、気をつけていることの一つに“ 世代間ギャップ”がある。

ベテラン経営者が若者を見て、「今の若者は…」と否定的な発言をすることがある。この発言は、自分の世代が正しくて、若い世代が劣っているという考えに基づいているのだろう。だがしかし、果たして、本当にそうなのだろうか。

折に触れて考えた結果、私は若者の価値観を正論、もしくは基準とすることが望ましい、と考えるようになった。私と若者の価値観が違う場合、私の価値観が古いのだと思うようにしている。若者にITで大きく後れを取っているのと同じように、価値観も遅れているのかもしれないと捉えて、私の古い価値観は決して押し付けないようにしている。社内基準も、可能な限り若者の価値観、言い換えるならば“社会の新しい価値観”に合わせる努力をするという方針にしている。

時代がもの凄いスピードで変化していることは間違いない。その最先端の流行や文化を当たり前に思い、使いこなしているのは若者たちである。その若者に価値観の基準を合わせることは、すなわち、時代に合わせて会社を変革させていることと同じであろう。そう考えると、「今の若者は…」といった余計なストレスを抱えることはなく、自らが変化するしかないと思えるようになり、とてもスッキリした気持ちになる。