糖質制限からの妄想

2017年1月24日 at 4:33 PM

<2017年1月号アステックペイント定期発行物ホットラインの一部抜粋>

昨年は不摂生な生活が続いたため、健康第一の2017年にしようと誓い、年末年始はデトックスやダイエットなどに精進するとともに、多くの関連書籍を読んでみた。自身の経験上、有効なダイエットが糖質制限であることは間違いないと思うところもあり、特に糖質制限にまつわる書籍は読破した。

最近の新しい考え方の一つに、「糖質は百害あって一利なし」というものがあるようだ。その考え方によると、身体を太らせる原因は、脂質でもカロリーでもなく、糖質であり、糖質さえ摂取しなければ太ることはないとのこと。さらに言うと、現代の病気で、治療が難しいと言われる、がん・高血圧症・糖尿病・脳卒中・動脈硬化・アルツハイマー、さらにはうつ病までもが、原因は糖質にあり、糖質を抜くだけでそのほとんどが改善されることは医学的にも認められているという。ただし、日本医学会では様々なしがらみのある中で積極的には承認されていないようだ。

糖質は、砂糖や果物以外では、ご飯、パン、麺類などの炭水化物に多く含まれる。そしてこれらの炭水化物は単なるでんぷんの塊であって、人間にとって全く栄養はなく、食べるだけで肥満になるばかりか、様々な病気の原因の元凶でもあるのだ。

とはいえ、糖質から分解されるブドウ糖は、脳の栄養として必要なものではないかと思われる方も多いのではないだろうか。しかし実は、元来人間は、ブドウ糖ではなく、ケトン体という体内で製造される物質を脳の栄養としていたらしい。文明の発展と共に農作が生まれ、安定的に穀物を食べ、必要以上の糖質を摂取するようになり、ケトン体に取って代わって、ブドウ糖が脳の栄養を担うようになったのだ。その結果として、必要以上のブドウ糖が肥満や様々な病気を引き起こしているわけで、糖質は人間にとって、まさに百害あって一利なしである。

日本の歴史を振り返ってみると、縄文時代は狩猟採集が中心で、糖質といえばドングリなどで、摂取量はかなり限定されていたはずである。弥生時代には農作がはじまり、自然を破壊して、人工的に田んぼや畑を作り、大量の穀物が生産されるようになる。食文化は一変し、人口も増大した。そして、現在。巡り巡って、世界人口は今や70億人超と爆発的に増えている。昔はなかった様々な病気も生まれ、地球は持続可能な社会ではなく、崩壊の方向を向いているようにすら感じる。糖質は、人間だけでなく、地球にとっても害のようである。

糖質を食べない生活をすることは、縄文時代の生活のように自然と共生し、持続可能な社会に戻ることを意味するのではないかと思った。縄文時代は、農作をせずとも、争うことなく大規模な人口を維持できており、人々は芸術的な土器をつくり、装飾あふれる服装を身に着け、持続可能な豊かな社会を実現していた世界でも珍しい時代であった。

「こんな社会もいいな」と、ダイエット目的で糖質制限の本を読んでから、私の妄想もかなり膨らんでしまった。