アステックペイントタイランド設立3年目を迎えて

2015年12月22日 at 11:51 AM

<アステックペイント定期発行物ホットラインの一部抜粋>

アステックペイントタイランドは設立3年目に突入した。
今年の9月末に第二期の決算を迎え、何とか黒字に転換することができた。
年商は日本円で1億円程度だが、
タイの物価に換算すると3億円程度の工事量をこなしていることになる。
正直に言うと、ホッとしている。
社長という立場の私が、日本での業務量を格段に減らして
バンコクに単身で乗り込み、その結果、バンコクで事業を失敗してしまっては、
社員および顧客に大きな影響があったと思う。

現在、バンコクには、膨大な数の日系企業が進出してきている。
バンコクだけでも日本人が約10万人以上住んでいると言われている。
日系企業の中でも製造業のバンコク進出は、
概ね成功している場合が多いようである。
製造業の進出はタイ政府からも歓迎されており、あらゆる優遇がある。
基本的には、日本で行なっている業務のコピーをタイで行ない、
さらに販売先も確保されていることが、その大きい要因であろう。
反面、それ以外の非製造業の日系企業は、90%が赤字と言われている。
非製造業の企業として、当社のような塗装業、
他にはコンサル、飲食、スパ、通信など
あらゆる業種の企業がバンコクに進出してきているが、
セールスやマーケティングにおいて、タイ国内では日本のコピーでは通じない部分も多く、
結果90%が赤字となっているようだ。

非製造業の日系企業の90%が赤字である要因をさらに探っていくと、
結局は「人」で苦労しているように感じる。
まずは、バンコクに派遣されてくる人材に
事業を海外で興すほどのエネルギーが足りていない。
また、タイ人スタッフの採用とそのマネージメントスキルを有する
日本人の中間管理職が全く不足している。
さらに日本でしか通用しない営業手法を行なっているなどの課題も感じられる。

海外の進出で重要となるのは、
いかに現地からの収益の比率を高めていくか、ということだと思う。
多くの企業は日系企業同士の取引となっている。
現在は、日系企業の進出が多いため、
日系企業を対象にしても売上を伸ばしていくことは可能かもしれない。
しかし、多くの企業がベトナムやミャンマーに
工場を移転し始めている現状を考えると、
日系企業だけの取引では売上は確実に頭打ちになる。
当社も現在は日系企業の工場塗装の売上が全体の95%を占めているが、
将来的には現地法人、もしくはマンションや住宅などの
現地からの受注を増やしていかなければ、長期にわたるビジネス展開は難しいであろう。

バンコク進出の3年目を迎えた2016年。
現地ローカルマーケット参入のテストマーケティングを行なっていこうと考えている。
そのために必要な社内体制および社員教育も今から準備し始めていきたい。