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未来への危機感

2017年9月27日 at 4:41 PM

<2017年9月号アステックペイント定期発行物ホットラインの一部抜粋>

フィンテック、仮想通貨、ビットコイン、ブロックチェーンといった言葉が、ニュースや雑誌などを賑わせている。輸入や海外送金などに関わるビジネスをしていると、通貨の交換手数料や送金手数料などが大幅に削減されるビットコインを代表とする仮想通貨の普及には、物凄くメリットがある。為替変動リスクが無くなれば、当社のビジネスに格段の安定性がもたらされるため、私も仮想通貨には多少なりとも興味を持っていた。

仮想通貨の普及が、経済や社会に及ぼすインパクトは物凄いと思う。仮想通貨が普及するということは、中央銀行のような通貨発行機関が必要なくなることを意味する。通貨発行権を有する中央銀行を支配するために、これまで歴史のなかで何度も戦争が起こるほど、通貨発行権は権力の中心となってきた。そう考えると、国として最も大切な機能を消滅させる程のインパクトが仮想通貨にあるということが、過言ではないと分かるのではないだろうか。

仮想通貨の誕生の背景には、ブロックチェーンという新しいIT技術がある。ブロックチェーンとは、「取引の履歴を塊(ブロック)にして、その塊を鎖(チェーン)のように繋げていく仕組みであり、過去の取引履歴が一目瞭然となる帳簿のようなもの」と、何とも理解しにくいものだ。しかし、その仕組みを知っていようと知っていまいと、社会の水面下では、確実にこのブロックチェーンによる大きな変革が進み始めている。仮想通貨はブロックチェーンの技術を活用した一つの動きで、ブロックチェーンには、過去にインターネットがあらゆる経済を変革させてきた以上の激しい社会変革を起こすほどの潜在的インパクトがあるようだ。

仮想通貨だけでも、クレジットカード会社を消滅させ、銀行の決済業務を奪い取り、大量の銀行員のリストラを生み、日本銀行の通貨発行権や国の金融政策さえ無効にしてしまうだけのインパクトがある。そして、その余波は様々な産業にも確実に広がっていくだろう。もちろん、我々の塗料・塗装業界も無縁である訳はない。

とはいえ、今から何らかの対策を準備したいと思っても、何をして良いかわからない。できることといえば、商品やサービス向上のために努力し、経営者自らも成長し、社員教育などを今まで以上にしっかり行なうといった基本的なことで、それ以外は何も思いつかない。
予測できない未来について考えることに大きなストレスを感じるが、この危機感を持つ経営者と持たない経営者では、少しずつ見えてくる未来への対応スピードは変わってくるであろう。未来に対する危機感こそが、今の私の経営のモチベーションになっている。