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「継続性がある事業」を継続させる難しさ

2018年6月28日 at 7:15 PM

<2018年6月号アステックペイント定期発行物ホットラインの一部抜粋>

事業に取り組むうえで、絶対に守ろうと決めているルールがある。それは、「継続性が見込めない事業はしない」ということだ。継続性が見込めない事業とは、例えば、オリンピック特需で生まれる工事、法律によって収益が左右されやすい新ビジネス、流行りのスイーツ等々。このルールが正しいのか否かという点については、私の性格や価値観の問題であり、正誤の問題ではないだろう。

そして、事業を考えるにあたり最重要視しているのは、「継続性がある事業」を短命で終わらせることなく、「継続性がある事業を継続させる」ことである。例えば、アステックペイントの「工場プロジェクト」には、多くの加盟店様にご参画いただいているが、中には途中でプロジェクトから離脱されてしまう加盟店様もいらっしゃる。とても残念なことだと思う。

工場向けの塗装工事は、テレアポで集客をするケースが多い。そして、興味を持っていただいた企業に訪問し、建物診断をして、見積りを提出する。数多くの見積りを提出すれば、その中から、すぐに受注が取れることもあるかもしれない。しかし、多くは長期戦となり、2年程の時間をかけて受注することも少なくない。工場向けの塗装工事は、多くの見積り案件に対して、長期にわたり定期的な再訪問やフォローをし続けなければ、受注を獲得することができない、まさに“継続性”が求められる事業である。

こうした、すぐには売上につながらない事業を継続するためには、経営者と担当者が「絶対的な覚悟を持ってやり続ける」という強い意志を持つことが重要となる。その上で、収益化に時間を要するのであれば「かける費用は最小限に抑える」、長期にわたりフォローが必要なのであれば「営業エリアは絞り、遠方には絶対に行かない」といったルールをつくり、さらには「定期的なフォローの仕組みを整え、実行し続ける」ことも当然必要になるであろう。

「継続性がある事業を継続させる」ためには、関わる人員の覚悟、継続するための仕組み、諦めずにやり続ける行動力、そしてビジネスモデルを適正に更新し続けることなど、全ての条件を揃えなければならない。非常に難しいことではあるが、それがビジネスの面白さでもあると思っている。

『日本経営品質賞』を目指す

2018年5月31日 at 6:55 PM

<2018年5月号アステックペイント定期発行物ホットラインの一部抜粋>

「いつの日か、日本経営品質賞を獲得したい」と思うようになっていた。そのきっかけはよく覚えていないが、おそらく過去に読んだ本の著者数名の経営する会社が、この賞を受賞していたからだと思う。中小企業でありながら、“日本経営品質賞”という名前からしてハードルの高そうな賞を獲得している事実を知り、是非とも自社でも獲得したいと思うようになったのであろう。

日本経営品質賞の評価基準を調べてみると、「目指すべき方向、基本理念を構成する4つの要素、7つの重視する考え方をベースとして、組織プロフィールと8つのカテゴリからなるフレームワーク、20の評価項目から構成されている」と表記されていた。分かるようで、なかなかイメージしにくい内容ではあるが、ハードルはかなり高そうだ。過去の受賞企業には、IBMやトヨタグループ、スーパーホテルなどの超トップ企業が名を連ねており、少し怯みそうになった。

先日、日本経営品質賞を受賞された会社の社長をご紹介いただいた。お会いした際に、「勉強のために会社を訪問したい」とお願いしたところ快諾いただき、経営管理部の社員5名と一緒に訪問してきた。

様々な取り組みを教えていただいたが、その会社の凄いところは、当たり前のことを徹底してやり続けていること、まさに“凡事徹底” にあると思った。実際に、当たり前のことを徹底的にやると決めて実践するのは、並大抵のことではない。そして、正直なところ、私の苦手とするところでもある。

おそらく、日本経営品質賞の獲得に向けての取り組みをスタートさせると、様々な課題が出てくるであろう。もしかすると、目の前にやるべき業務が沢山ある中で、新たな取り組みに大きな負担を感じる社員もいるかもしれない。また、一部の社員からは「優先順位が違う」といった意見が出てくる可能性もある。

だが、一つの真理は、“もっと強くて良い会社にするためには、様々なチャレンジをしなければならない”ということだ。経営に関しては、自分達が良いと信じる道を盲目的に突き進むのではなく、第三者からの意見や評価が貴重となることは間違いない。

今後、社員がもっと成長できる環境をつくりたい。そして、もっと高い次元の顧客サービスが提供できるようになるために、業界において我々の会社を異次元のレベルにまで上げなければならない。そんな、無限にある会社としてやるべきことに向き合い、日本経営品質賞の獲得を目指していきたいと思っている。

経営者は黒字に逃げてはいけない

2018年4月27日 at 6:51 PM

<2018年4月号アステックペイント定期発行物ホットラインの一部抜粋>

ネットニュースを見ていて、「経営者は黒字に逃げてはいけない」という見出しに目がとまった。ハーバード・ビジネス・レビューの有料会員だけが見られる記事であったため、まだ読めていないが、見出しだけでも、なぜかジーンとくるものがあった。サイバーエージェントの藤田社長のインタビュー記事とのことで、自分なりにその内容を想像してみた。

現在、サイバーエージェントが運営するインターネットTV局「AbemaTV(アベマTV)」は年間200億円の赤字を出しているが、藤田社長は変わらずAbemaTVに全力を注いでいる。藤田社長は、伸びない分野には早く見切りをつけ、伸びる分野に経営資源を集中させているようだ。過去の実績に信用があるとは言え、継続的に続く赤字に多くの投資家は不安を感じているに違いない。そんな中、ブレずに突き進んでいる藤田社長から出てきた言葉が「経営者は黒字に逃げてはいけない」であったのだろうと想像する。

この言葉に感動せずにはいられない。次世代に活躍する企業に必要な考え方だと思う。
これまでは、経費をコントロールしながら黒字をしっかり出し、自己資本比率を可能な限り高め、どのような状況に陥っても耐えられる強い企業経営が尊敬されてきた。しかし、日本の大手企業の多くは膨大な現預金を抱えながらも、新たな未来投資を怠り、その結果、世界の競争相手に遅れをとってしまい、少しずつ衰退しているように感じる。つまるところ、これからの時代は、未来投資よりも、しっかり黒字を出して現預金を貯め込み続けることを優先する方がリスクになり、次の時代に向けて競争力を高めるために未来投資をし続けることのできる企業が成長できる、ということであろう。

こうした考え方をもとにすると、「経営者は黒字に逃げてはいけない」という表現通り、今、業績が伸びているからといって黒字を出すことに逃げるのではなく、業績が伸びている中で生まれる利益を、いち早く未来投資に向けることが経営者としての正しい姿ということになる。

例えばAmazonの場合、どんなに長い期間赤字であっても投資家が投資し続けるため事業の継続が可能であり、その結果として、現在は膨大な利益と共に小売業界のプラットフォームを握りつつある。だが、Amazonが特別だからと、別枠で考えるべきではないだろう。
“黒字に逃げず、未来に投資すること”は、これからの時代、どの企業にとっても必要な考え方だと思う。