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消費税の増税について考える

2018年12月28日 at 5:14 PM

<2018年12月号アステックペイント定期発行物ホットラインの一部抜粋>

2016年秋、消費税10%への引き上げを2019年10月に再延期する税制改正関連法が成立している。「リーマン・ショック級の危機があれば、見直しもあり得る」といった首相の発言もあるようだが、今のところ、2019年10月に消費税が10%へ引き上げられることはほぼ間違いないだろう。

消費税の増税については、本当に不思議に思っている。1989年のバブルの真っ只中、初めて消費税3%が導入された。
そして1997年の橋本政権の時に5%に引き上げられ、経済に大きな打撃を与えることになった。そして、日本の不況は未だに続いている。日本経済の失われた20年は、消費税増税の歴史と共に歩んできたといっても過言ではないと思う。

そして結果的に、過去20年以上、日本の名目賃金は横ばいである。その実感は私にもあり、私が学生の頃のアルバイト代と、今のアルバイト代がさほど変わっていない事実に驚くばかりである。これは世界的に見ても異常で、G7と言われる先進国のほとんどで、過去20年の間に名目賃金は150%近く上がっている。株価に関しても、アメリカでは200%程上昇しているが、日本の株価はほぼ横ばいと言っても良いだろう。

日本の国内総生産(GDP)のうち個人消費は約60%を占めているが、消費税の増税は消費者にとっては商品代の値上げと変わらないため、ある意味、消費活動を抑制するような施策とも言えるだろう。不況が続く中、消費税を増税し続けても、政府が望むように景気が回復するとは、とても思えない。そして、“増税をしなければ、国は財政破綻してしまう”と言うが、有事には必ず円高になるほど日本の通貨には信用があり、世界トップクラスの経常収支を毎年叩き出しており、世界第二位の外貨準備高を有している。そんな国の財政が破綻するとは思えない。

経団連は、過去に、2025年までに消費税を19%に引き上げるべきだと提言していたようだ。不況の中、なぜ消費税を上げ続けるのか甚だ疑問である。

過去20年間、日本では、国民の名目賃金が全く上がらない状況下で、多くの大手企業がバブル期より遥かに高い過去最高益を出し、過去最高の内部留保を蓄えている。その背景には、企業努力や技術革新も当然あるだろうが、人件費を抑え、世界的にも低賃金で人材を雇用することで国際競争力を高め、結果としてバブル期以上の高収益体質を作り上げているという側面もあるのではないだろうか。そして国は国策として、賃金を抑える施策をとることで、企業の国際競争力を高め、世界経済戦争に負けない体制を作ろうとしてきたのかもしれない。そんなことを空想してしまう。

いずれにしても、消費税は今後も上がり続けると考えて良いかもしれない。2014年4月に消費税が8%に上がった時は、半年間は住宅塗装需要が低迷したと記憶している。このことを踏まえれば、事業計画書には、2019年10月の増税後、半年間は住宅塗装需要が大きく低迷することを前提とした内容を織り込むべきであろう。現時点では、消費税増税後、そしてオリンピックの終焉を迎える2020年以降の姿は全く見えない。先が見えない時代は、守りを強化し、会社の成長を最小限にとどめる方針を立てるという考えもありなのかもしれない、と思っている。

コミュニケーションの重要性

2018年11月30日 at 5:10 PM

<2018年11月号アステックペイント定期発行物ホットラインの一部抜粋>

組織マネージメントにおけるコミュニケーションの重要性は十分理解しているが、疎かにしてしまうことで大きな後悔をすることが度々ある。
最先端の仕組みやビジネスモデルを構築し、明確な業務上の役割分担があっても、その潤滑油となるコミュニケーションが不十分であれば、会社組織が破綻してしまうこともあるだろう。一方で、コミュニケーションが十分にとれていれば、表面化していない問題を早々に解決できたり、関わるメンバーのモチベーションが上がり想定した以上の成果が生み出せたりすることもある。

会社組織におけるコミュニケーションが難しい理由の一つは、立場による「時間軸」と「視界」の違いにあると、以前本を読んだ時に気づかされたことがある。
会社組織は「トップ(経営者)」「マネージャー(管理職)」「プレイヤー(社員)」の大きく3つの階層に分けることができ、その3階層を「時間軸」と「視界」に分けると、下記の表となる。

この3つの階層の立場の人々がそれぞれの役割を担うことで、会社組織は円滑に機能する。そして、どの立場が特に重要ということはなく、全ての立場の人々がそれぞれ成果を上げることで、組織の成長に繋がることになる。

しかしながら、“日々のコミュニケーション”という観点で考えた時には、トップが日頃考えている時間軸・視界と、プレイヤーが日々実践している時間軸・視界には全く接点がないため、コミュニケーションが全くとれないという事態も起こり得る。さらに踏み込んで言うと、時間軸・視界が異なると、おのずと使用する言語も異なってくるために、会話が全く通じないということもある。こうしたことは、多くのトップやプレイヤーが経験していることではないだろうか。このギャップを埋めるために、マネージャーはトップとプレイヤーの通訳係としての役割を担う必要があるだろう。

そして、それぞれが役割を全うする努力をする中で、必ず生まれる様々な課題を乗り越えるには、結局はコミュニケーションの量が重要になると思っている。人間は機械のようにはいかず、それぞれが人生設計や家族事情、感情を抱えて仕事をしていることを考えれば、人間の集まりである組織をマネージメントするために、コミュニケーションの量が重要となるのは明らかであろう。

私も分かっているつもりではあるが、いつも反省するテーマである。

内定式を終えて

2018年10月31日 at 5:07 PM

<2018年10月号アステックペイント定期発行物ホットラインの一部抜粋>

去る10月中旬ごろ、福岡市内で、2019年入社予定の新入社員の内定式を行なった。来年の春には、16名もの新入社員が入社してくる。多くの企業では採用予定数の半数も確保できていないことがニュースになる中、これだけ多くの学生に就職先として選んでもらえていることは、本当に光栄なことだと思っている。
そして、今回、内定式を終えて、改めて、若い世代との付き合い方について考えている。

GAFAと呼ばれるグーグルやアマゾンなどの大手IT企業は、これまでの既存概念とは全く違うかたちでビジネスを展開し、膨大な収益を築いている。今後も、想像もできないような展開をしてくるであろう。
日本に目を向けると、日立製作所の社長が“製造業はなくなる”という表現を使い、「デジタル経済の中における未踏の領域で変化させていかなければならない」と語っているのを新聞のインタビュー記事で見た。また、世界最大手自動車メーカーのトヨタ自動車は、自動車製造業から移動サービス全般を提供するモビリティ・カンパニーに変わると宣言している。そしてトヨタ自動車が未来のパートナーに選んだソフトバンクとの新会社の出資比率は、ソフトバンクが50%以上、トヨタ自動車が50%未満と、ソフトバンクが主導権を握るかたちになっている。今までの価値観では全く理解できない動きが世の中で次々と起こっている。

今後、このような新しい価値観といかに向き合い、理解し、さらには自分のものにすることができるかが重要になっていくだろう。そう考えれば、今の若者の価値観を安易に否定するのではなく、未来の新しい価値観を有する存在として認め、学ぶべき対象と思うべきではないだろうか。これまで日本経済を担ってきた世代が驚くような価値観も、今の若者にとってはごく当たり前の価値観なのかもしれない。であれば、若者の価値観に少しでも近づき、理解する努力をするべきなのであろう。同じ理由で、今の若者が喜んでエネルギッシュに働ける環境をつくれる会社こそが、これからの未来の変化に対応し、未来に生き残っていける会社なのかもしれない。

来年入社してくる新入社員とも、こうした考えをもって付き合っていきたいと思っている。